芝刈り作業は手入れの中でも最も重要な作業の一つです。刈り揃えられた芝生は見た目にも美しく、庭全体の景観を向上させてくれます。
この記事では、芝刈り作業の方法や注意点など、 芝生を管理する上で不可欠な「芝刈り」について詳しく解説していきます。
芝刈り前の準備:道具選びと事前準備が成功の鍵
芝刈り作業をスムーズに進め、美しい芝生に仕上げるためには、事前の準備が非常に大切です。ここでは、芝刈り前にやっておくべきことについて解説します。
芝刈り機の準備
芝刈り機には、刈り方の違いでリール式とロータリー式があります。動力も手動式、電動式、エンジン式などがあり、それぞれに特徴があります。 それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分の庭に合った芝刈り機を選ぶことが大事です。
リール式芝刈り機(リールモア)の特徴
1. 仕組みと動作
- ハサミのように芝をカット
リール刃(回転する刃)が固定刃と組み合わさり、ハサミのような動きで芝を刈る。 - キレイな仕上がり
芝を押しつぶさず、シャープにカットできるので、芝生の健康を保ちやすい。
2. メリット
✅ 芝を傷めにくい → 芝の切り口がきれいで病気になりにくい
✅ 静音性が高い → 電動・エンジン式に比べて音が静か
✅ 環境にやさしい → 手動式なら電気やガソリンが不要
✅ 低コスト → 手動式なら維持費がほぼかからない
3. デメリット
⚠️ 長い芝には不向き → 伸びすぎた芝は刈りにくい
⚠️ 広い範囲には手間がかかる → 広い庭では時間がかかる
⚠️ 小石などに弱い → 固い異物があると刃を傷めることがある
4. どんな人に向いている?
- 芝を短く整えたい人(ゴルフ場のグリーンのような仕上がりを求める人)
- 音や排気を気にする人(住宅街でも静かに作業可能)
- こまめに手入れする人(週に1回程度の芝刈りが理想)
ロータリー式芝刈り機の特徴
1. 仕組みと動作
- 高速回転する水平刃で芝をカット
プロペラのような水平刃(ロータリーブレード)が回転し、芝を叩き切るようにカットする。 - パワフルな刈り取りが可能
リール式よりも強い力で芝を刈れるので、伸びた芝や雑草にも対応できる。
2. メリット
✅ 伸びた芝や雑草も刈れる → 長くなった芝生や荒れた庭でも対応可能
✅ 広範囲の芝刈りに向いている → エンジンや電動モデルが多く、作業が早い
✅ 扱いやすい → メンテナンスが比較的簡単で初心者にも使いやすい
3. デメリット
⚠️ 刈り口が粗くなりやすい → 切れ味がリール式ほど鋭くないため、芝の先が傷みやすい
⚠️ 音が大きい → エンジン式は特に作動音が大きい
⚠️ 芝を押し倒すことがある → 刃の回転によって芝を押しつぶし、均一に刈れないことも
4. どんな人に向いている?
- 伸びた芝や雑草を刈りたい人(少し放置してしまった芝もOK)
- 広い庭を持っている人(作業スピードが速いので効率的)
【比較表】リール式芝刈り機 vs. ロータリー式芝刈り機
項目 | リール式芝刈り機(リールモア) | ロータリー式芝刈り機 |
---|---|---|
刈り方 | ハサミのように芝をカット | 水平刃で芝を叩き切る |
仕上がり | キレイで芝を傷めにくい | やや粗く、芝が傷みやすい |
対応できる芝 | 短い芝向き(ゴルフ場のような仕上がり) | 伸びた芝や雑草も対応可能 |
駆動方式 | 手動 or 電動 | 電動 or エンジン |
静音性 | 高い(特に手動式) | 低い(エンジン式は特に騒音あり) |
重量 | 軽量(手動式は特に軽い) | 重め(エンジン式はさらに重い) |
メンテナンス | 刃の調整が必要 | 比較的簡単 |
おすすめの人 | 仕上がりを重視し、こまめに手入れする人 | 手軽に芝刈りしたい人、広い庭を持つ人 |
リール式は「芝の美しさ重視」、ロータリー式は「パワフルで手軽さ重視」という違いがあります。
その他の道具の準備
芝刈り機以外にも、芝刈り作業に必要な道具があります。 例えば、建物際の芝を切りそろえるための芝刈り鋏、芝刈りバリカン、芝ゴミを集めるのに必要な熊手、刈った芝葉を入れるゴミ収集袋などです。 これらの道具も必要に応じて準備しておくと、作業効率が上がります。
事前準備
芝刈りを行う前に、庭の状態を確認しましょう。 ゴミや石が落ちていたりすると、芝刈り機が故障する原因になります。 事前にゴミを取り除き、石を拾っておきましょう。
安全対策
芝刈り作業は、刃物を使用するため、安全に十分注意する必要があります。 軍手や保護メガネを着用し、安全な服装で作業を行いましょう。 また、芝刈り機を使用する際は、取扱説明書をよく読み、正しい使い方を理解しておきましょう。
これらの準備をしっかり行うことで、実際の芝刈り作業をスムーズに進めることができます。
いざ、芝刈り開始!基本の手順と注意点
芝刈り作業は、美しい芝生を維持するために欠かせない作業です。 適切な手順と注意点を守ることで、初心者でも安心して芝刈りを行うことができます。
芝刈りの手順

- 芝刈り機の刈高を調整します。 芝生の利用目的や種類に合わせて適切な高さを設定します。 一般的には30mm程度が目安ですが、ゴルフ場のグリーンのように短く刈る場合は15mm以下、 子供やペットの遊び場のように長くする場合は40mmなど、状況に合わせて調整しましょう。 ただし、50mm以上は芝生の密度が低下する原因となるため、避けるようにしましょう。
- 芝刈り機をかける進行方向を決めます。 通常は、芝生の流れ(芝目)に逆らうように刈ると、綺麗に仕上がります。 また、往復する際に少しずつ重なるように刈ることで、刈りムラを防ぐことができます。
- 芝刈り機をゆっくりと動かしながら、芝生を刈っていきます。 一度に短く刈るのではなく、少しずつ刈るようにしましょう。 芝生全体の長さに対して、1/3まで(2/3を残す)を目安にしてください。 長くなりすぎた芝生を一度に短くすることは、軸刈りのリスクあるので、その場合は芝刈り毎に、徐々に刈高を下げていくことで、 軸刈りを防ぎながら理想の長さに近づけることができます。※軸刈りについては次項で説明します。
- 家庭用芝刈り機には通常、刈りながら集草する機能がありますが、そうでない場合は、刈り終わりにレーキで刈り草を集める必要があります。刈り草を放置すると、病害虫の発生原因になるため、必ず集めて処分してください。
芝刈りの注意点
- 軸刈りに注意しましょう。 軸刈りとは、芝生の成長点を刈り取ってしまうことです。 成長点を刈り取ると、芝生の成長が著しく鈍くなり、 最悪の場合、枯れてしまうこともあります。 芝生の茶色と緑色の境目あたりに成長点があるため、 そこまで刈り込まないように注意しましょう。
- 芝刈り機は安全に注意して使用しましょう。 使用前に取扱説明書をよく読み、安全装置の確認や刃の点検を行いましょう。 また、作業中は周囲に人がいないか確認し、子供やペットを近づけないようにしましょう。
- 芝刈り後は機械などの清掃も忘れずにしてください。 刃物に芝カスなどが付着したままで放置すると、錆びの原因になり、次回の作業に影響がでます。
芝刈りの頻度とタイミング:季節に合わせた管理
美しい芝生を維持するためには、適切な頻度とタイミングで芝刈りを行うことが重要です。 芝生の成長は季節によって変化するため、それぞれの時期に合わせた管理が必要になります。
芝生の成長サイクルと刈り頃
芝生は、春から秋にかけて成長期を迎え、冬には休眠期に入ります。 成長期には、芝生は活発に成長し、刈り込みの頻度も高くなります。芝生が最も成長するのは気温が24~29度の季節です。
芝生の刈り時は、刈る芝の長さが「仕上げる長さの1.5倍を超えない長さ」が正解になります。 伸びすぎると、刈り込み作業が大変になるだけでなく、 芝生の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
【芝刈りカレンダー】芝刈り頻度の目安とポイント
月 | 芝刈り頻度 (目安) | 作業ポイント |
---|---|---|
3月 | 中旬から下旬に1回 | 冬枯れした葉の部分を刈り取る |
4月 | 1~2回 | 生育期に入り、芝生が伸び始める |
5月 | 2~3回 | 生育が盛んな時期、こまめに芝刈りを行う |
6月 | 2~3回 | 梅雨入り前に一度短く刈り込む |
7月 | 2~3回 | 夏本番、芝生が伸びやすいのでこまめに刈る |
8月 | 2~3回 | 暑さで芝生が弱りやすいので、刈り高をやや高めにする |
9月 | 1~2回 | 秋の生育期、芝生が再び伸び始める |
10月 | 1~2回 | 生育が緩やかになる時期 |
11月 | 1回 | 伸びた部分を軽く刈り揃える程度 |
12月~2月 | 必要に応じて | ほとんど成長しないので、基本的には不要 |
芝刈り頻度は、あくまで目安であり、お住い地域の気候条件によって調整が必要です。
芝刈り作業のポイント
- 芝生の種類や生育状況に合わせて、適切な頻度とタイミングで刈りましょう。
- 刈り過ぎると芝生が傷んでしまうため、刈り高を適切に保ちましょう。
- 芝刈り後は、水やりなどの手入れを忘れずに行いましょう。
芝生を美しく保つためには、季節に合わせた適切な管理が重要です。 芝生の成長サイクルを理解し、適切な頻度とタイミングで芝刈りを行いましょう。 芝刈り後の手入れも忘れずに行い、一年中美しい芝生を楽しみましょう。
芝刈りでよくある失敗と対策
芝刈り作業は、美しい芝生を維持するために欠かせない作業ですが、初心者の方にとっては失敗しやすいポイントもいくつかあります。ここでは、よくある失敗例とその対策をまとめました。
刈り過ぎ
- 原因: 芝生を短く刈り過ぎてしまう(軸刈り)
- 対策: 芝刈り機の高さを適切に調整し、一度に刈る量を少なくする。
- 影響: 芝生が弱り、病害虫が発生しやすくなる
ムラ刈り
- 原因: 芝刈り機の操作が不慣れで、刈りムラができてしまう
- 対策: 芝刈り機をゆっくりと一定の速度で動かし、刈り残しがないように注意する。
- 影響: 見た目が悪くなるだけでなく、芝生の成長にも悪影響
芝刈り機の故障
- 原因: 芝刈り機のメンテナンス不足や誤った使い方
- 対策: 使用前に取扱説明書をよく読み、定期的にメンテナンスを行う。
- 影響: 芝刈り作業が中断されたり、芝生を傷つけたりする
病害虫の発生
- 原因: 芝生の管理不足や不適切な手入れ
- 対策: 定期的に芝生の状態を観察し、病害虫が発生したら早めに対処する。
- 影響: 芝生が枯れてしまったり、景観を損ねたりする
雑草の繁茂
- 原因: 芝生の密度が低い、または雑草の種子が飛来する
- 対策: 芝生を密生させるように手入れをし、雑草を見つけたら早めに除去する。
- 影響: 芝生の生育を妨げ、景観を損ねる
失敗から学ぶこと
芝刈り作業で失敗することは誰にでもあります。大切なのは、失敗の原因を理解し、次回の作業に活かすことです。経験を積むことで、徐々に上手に芝刈りができるようになります。
芝刈り作業は、美しい芝生を維持するために重要な作業ですが、いくつかの注意点があります。この記事で紹介した失敗例とその対策を参考に、芝刈り作業を成功させ、緑あふれる美しい庭を実現してください。
【まとめ】芝刈り頻度と美しい芝生の深い関係
芝生の密度が向上する
頻繁な芝刈りは、芝生の成長を刺激し、分けつを促進します。分けつとは、芝生の株から新しい芽が出てくることです。これにより、芝生がより密になり、雑草が生えにくい状態を作ることができます。
病害虫の発生を抑制する
芝生が伸びすぎると、風通しが悪くなり、湿気がこもりやすくなります。これは、病気や害虫が発生しやすい環境です。定期的な芝刈りによって、風通しを良くし、病害虫の発生を抑制することができます。
雑草の繁茂を抑える
芝生が密に生えていると、雑草が根を張るスペースが少なくなります。また、頻繁な芝刈りによって、雑草が成長する前に刈り取ることができるため、雑草の繁茂を抑える効果があります。
美しい芝生を維持する
定期的な芝刈りは、芝生を常に美しい状態に保つために不可欠です。刈り揃えられた芝生は見た目にも美しく、庭全体の景観を向上させてくれます。
芝生の健康を促進する
適切な頻度での芝刈りは、芝生の光合成を促進し、健康な状態を保ちます。
この記事では、芝刈り作業の基本や注意点、手入れ方法など、美しい芝生を育てるための芝刈りに特化した情報を紹介してきました。
芝刈りは決して楽ではありませんが、美しい芝生を育てるための重要な作業です。適切な頻度で芝刈りを行い、健康で美しい芝生を育てましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。